注射針を刺す痛みは、針が細いほど少なくなります。当院では注射針の太さにもこだわり、歯科で使用するものの中で最も細い33ゲージ(33G)の注射針を採用しております。
できるだけ削らずに大切な歯を守る
むし歯の治療では悪くなった部分を削って取り除いていきますが、実は歯を削ることそのものが歯の寿命を縮める要因になってしまいます。むし歯を治療した後もその歯を長く維持していくためには、健康な歯質をどれだけ多く残すかが大きな鍵となります。
そのため当院のむし歯治療では歯を削る量を最小限に抑え、可能な限り多く歯質を残すことに努めております。また「ただ治療するだけ」にとどまらず、今後新たなむし歯をつくらないための取り組み方を患者さんと一緒に考えていきます。
「痛くない麻酔注射」のこだわり
むし歯の治療というと「痛い」というイメージがつきものですが、その多くが治療前におこなう麻酔注射による痛みです。当院では麻酔注射においても様々な工夫をおこない、痛みの少ないむし歯治療に取り組んでおります。
注射の前の「表面麻酔」
麻酔注射の際に感じる痛みは2種類あります。その1つが注射の針を粘膜に刺す時の「チクッ」とする痛みです。当院では麻酔注射をおこなう部位に必ず表面麻酔を塗布し、粘膜にもしっかり麻酔をかけながら針を刺す痛みを抑えていきます。
注射針は最も細い33Gを使用
麻酔薬を温めて痛みを和らげる
麻酔注射では注射針を刺す痛みのほかに、麻酔液を注入する時の痛みがあります。その原因の1つが麻酔薬の温度で、冷たい薬液が体内に注入されるとその温度差によって痛みを感じやすくなります。
そこで当院ではあらかじめ麻酔薬を体温に近い温度まで温めたものを使用し、注入の際の痛みを和らげていきます。
注入スピードを一定にする「電動麻酔器」
麻酔薬を注入する際の痛みは注入する速さにも関係しており、一定の速度でゆっくり薬液を注入することで痛みを抑えることができます。
当院では注入スピードをコンピュータで自動制御する電動麻酔器を導入し、麻酔が終えるまで痛みを感じさせないよう努めております。
むし歯を発生させる4つの要素
むし歯は次の4つの要素が重なった時に発生します。
歯質
人には生まれつき歯質の強い人と弱い人がおり、同じケアをおこなっていても歯質の弱い人のほうがむし歯になりやすい傾向があります。
また乳歯や生えたばかりの永久歯は歯質が未熟なため、やはりむし歯になるリスクが高くなります。歯質を強くし、むし歯に対する抵抗力を高めるために、普段のケアからフッ素を活用していきましょう。
細菌
むし歯はミュータンス菌とよばれる菌が、糖を代謝する際に産出する酸によって歯が溶けてしまう病気です。ミュータンス菌は他の細菌たちともに「プラーク」という集合体をつくって生息しています。
毎日の歯磨きを中心に、プラークをできるかぎり取り除いていく「プラークコントロール」に取り組んでいきましょう。
糖質
むし歯の原因となるミュータンス菌は砂糖などの糖分をエネルギー源とし、糖分からエネルギーをつくりだす過程で歯を溶かす酸を産出します。
糖分の摂りすぎには十分注意するほか、キシリトールなど「酸をつくらない糖」を取り入れるなどして、むし歯を予防していきましょう。
時間
むし歯はミュータンス菌の吐きだす酸に歯がさらされる時間が長くなるほど発生しやすくなります。特に時間を決めずに食べ物や飲み物を口にする「ダラダラ食べ」「ダラダラ飲み」には注意が必要です。
食事は決められた時間のみにおこなうなど、規則正しい食生活に努めましょう。
むし歯の進行
初期むし歯(CO)
エナメル質の表面がわずかに溶けた状態で、痛みなどの症状はありません。この段階でフッ素などを活用すれば、歯を削らずに元の状態へ戻すことができます。
エナメル質のむし歯(C1)
エナメル質内に進行したむし歯です。痛みなどの症状はほとんどありませんが、まれに甘いものや冷たいものがしみることがあります。
象牙質のむし歯(C2)
エナメル質の下にある象牙質にまで進行したむし歯です。この段階になると「冷たいものがしみる」といった症状があらわれるほか、歯に穴があいている様子を肉眼でも確認できるようになります。
神経にまで達したむし歯(C3)
象牙質のさらに奥にある「歯髄(しずい)」まで進行したむし歯です。冷たいものと熱いものの両方が歯にしみるほか、症状がひどい場合は何もしなくてもズキズキと強い痛みを感じるようになります。この段階になると、歯の神経を取る治療が必要です。
歯の根っこしか残らないむし歯(C4)
歯のほとんどが崩壊し、歯ぐきの中に根っこだけが残った状態です。神経が死んでしまうと痛みも感じなくなります。この段階まで進行してしまうと、歯を残すのが難しくなります。